菊澤研宗教授による
【ドラッカーに学ぶ自由な社会と企業の役割】

※この講座は終了いたしました。

彼はなぜ"マネジメントの発明者"になり得たか

ドラッカーは"マネジメントの発明者"と呼ばれ、彼が主張した原理・原則の普遍性は、今も経営のバイブルとして多くの経営者の座右書となり、実務家の指針となっています。しかし、経済と経営をつなぐ古典としてのドラッカーの本質は、「マネジメント」に辿り着くまでの彼の思考の遍歴にあるのではないでしょうか。

本講座は、昨今のドラッカーブームとは一線を画します。「どう経営するのかより、人間としてどうあるべきか」を常に問いかけ、自由な経済社会を希求したドラッカーが、企業経営に着目しマネジメントの近代化にその解を見出すまでの歴史、哲学を考えます。

 菊澤研宗

初期の著作から「マネジメント」が生まれるまでの変遷を知る

この講座では、ドラッカー初期の著作に焦点を当てます。「分権化」「目標管理」といった実践的な概念を提唱したドラッカーは、実利優先の経営コンサルタントと思われがちですが、実は極めてアカデミックで哲学的な思考の持ち主です。

若き日のドラッカーは、全体主義が興隆する欧州を離れ、資本主義の可能性を求め米国へと渡りました。やがて、資本主義の新たな主役として企業経営を捉え、産業発展と自律的個人が統合する「マネジメント」の概念を創り出すに至るまでの初期三部作『「経済人」の終わり』『産業人の未来』『企業とは何か』と、その集大成である『現代の経営』を中心に読み解きます。

お勧めしたい方

ドラッカーの著作をじっくりと読み込みたい方

ドラッカーの思想を通して、現代の経営観、企業観を探りたい方

ドラッカーの生き方より、人間としてのあり方を考え人間力を深めたい方

開催概要

日程:2011年 4/23、5/14、5/28、6/11、6/25、7/2(すべて土曜日) 全6回

時間:14:00-17:00(3時間)

定員:25名

会場:慶應丸の内シティキャンパス

参加費:105,000円(税込) 割引制度 キャンセル規定

講座内容

4月23日(土)14:00-17:00

第1回 ドラッカー、その人生と歩み 
~マネジメントが生まれるまで~

ドラッカーとはどのような人物なのか。また、彼の思想はどのような流れで展開されてきたのか。
ドラッカーの歩んだ20世紀という時代背景とともに、彼の人生、当講座で取り上げる初期三部作とその集大成である『現代の経営』の位置づけについて解説します。

5月14日(土)14:00-17:00

第2回 『「経済人」の終わり』を読む
~大戦前夜のドラッカー:新たな秩序の誕生~

第一次世界大戦によって19世紀的な経済人の社会は崩壊し、その隙間を縫うようにファシズム全体主義が登場しました。しかし、それは矛盾と不可能を主張したに過ぎず、何ら新しい社会を描くものとはなり得ませんでした。
ドラッカーは、ファシズムが消滅するには、ヨーロッパの伝統的価値観である自由主義と人間主義を基礎とする新たな秩序を構築することが必要であると説きます。

『「経済人」の終わり』(1939年)
ドラッカー29歳の時の処女作。「経済人」とは経済至上主義を意味する。経済至上主義は、社会を機能させ人を幸せにするのかという問題意識は、今日を生きる我々の問題意識と変わることがない。

5月28日(土)14:00-17:00

第3回 『産業人の未来』を読む
~戦火のなかのドラッカー:自由社会がもたらすもの~

第二次世界大戦戦火の中で、ドラッカーは次代の社会の姿に思いをめぐらせます。それは、産業中心の社会であり、組織中心の社会でもありました。
彼がどのような思いで戦乱を生き抜いていたのか、ドラッカーが思い描いた未来像とともに、自由社会とは何かを考えます。

『産業人の未来』(1942年)
ドラッカー32歳の時の著作。新しい産業社会では、人間を歯車として扱うのではなく、意志を持った生身の存在として機能できる企業こそが主役であるべきと提唱した画期的な書である。

6月11日(土)14:00-17:00

第4回 『企業とは何か』を読む
~戦後のドラッカー:企業に期待するもの~

ドラッカーの二作目『産業人の未来』に注目していたGM(ゼネラルモーターズ)は、ドラッカーに調査研究を依頼します。そのGMでの経験から彼は、新しい自由な産業社会を形成する担い手は、政府でも官僚でもなく、自由な企業あるいは自由な企業経営者であることを確信します。
ドラッカーの期待を核にして、企業とは何か、何のためのマネジメントかについて考えます。

『企業とは何か』(1946年)
ドラッカー36歳の時の著作。新しい自由な産業社会を形成する担い手として、政府でも官僚でもなく、自由な企業あるいは自由な企業経営者であることを提唱した著。GMでの1年半にわたる調査研究の知識の集大成でもある。

6月25日(土)14:00-17:00

第5回 『現代の経営』を読む
~ドラッカーの経営学:顧客を創造するとは~

ドラッカーは企業経営のなかに、人間の進むべき道を見出しました。その社会は人間の自由を基礎とすべきであり、何よりも企業経営の目的は自由を行使することであると説いています。
現在においても語り継がれる「事業の目的とは顧客を創造すること」という、自由な顧客創造の帰結に導かれるまでの流れを追います。

『現代の経営』(1954年)
ドラッカー44歳の時の著作。世界で最初の統合的経営書であり、ドラッカーの名を不動のものとした。自由な産業社会の主役たる企業に何が求められ、どうあるべきか体系的に論じている。

7月2日(土)14:00-17:00

第6回 ドラッカーの経営哲学
~カントの自由論からドラッカーを読み解く~

ドイツの哲学者カントの説く自由論と人間主義の思想は、ドラッカーの理想とした自由のあり方とよく似ていると言われます。「人間は生まれながら自由なのではなく、自由意志を行使することによって初めて自由になれる」と主張するカント哲学から、ドラッカーの経営哲学の本質に迫り、ドラッカー=カント流の社会的責任マネジメントについて、お話ししてみたいと思います。

教材・課題図書・参考図書

課題図書(配布):『知の巨人 ドラッカー自伝』 ピーター・F・ドラッカー著、牧野洋 訳・解説、日経ビジネス文庫2009年

※参考図書 『「経済人」の終わり』『産業人の未来』『企業とは何か』『現代の経営』の四冊は菊澤先生より内容サマリーの解説をいただきますので必読ではありませんが、講座の理解をより深めるためにも、可能であれば お読みいただくことを推奨いたします。

参加申込

受付は終了いたしました。

菊澤研宗


菊澤研宗
(きくざわ・けんしゅう)

慶應義塾大学商学部教授

 

1986年同大学大学院商学研究科博士課程修了。防衛大学校教授、中央大学大学院国際会計研究科教授を経て現職。経営哲学学会会長。
専門は組織の経済学、戦略の経済学、比較経営論、比較コーポレート・ガバナンス論。

 

主な著書

agora風景