菊澤研宗さんと考える【リーダーの条件】

自由意志を行使できるか。価値判断を下せるか。

近代社会は、理念として「自由と責任」を謳いながらも、経済合理性や数理モデル・統計といった科学的方法論を価値判断基準として尊んできました。しかしながら、主観的な判断をするからこそ責任感が生まれ、客観的であるがゆえに無責任を招いてしまうとも言えます。

「自由意志(信念・哲学)」に基づき、何が大切なのかを自らの責任で決める「価値判断」ができるかどうかが、リーダーの条件です。

本講座では「自由と責任」という概念と原理的に向き合い、思索を深めてきたドイツ・オーストリア系の社会思想を確認し、日本社会の伝統と特殊性も鑑みながら、この問題を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 菊澤研宗

東西の古典をわかりやすく解説

本講座では、カント、ヴェーバー、ポパー等ドイツ・オーストリア系の社会思想と小林秀雄、山本七平といった日本の思想・評論を取り上げ、哲学や社会思想にも精通した経営学者菊澤教授が、現代社会や企業組織の問題に擬えながら解説します。難解な古典の中に埋め込まれた「リーダーの条件」を、菊澤教授がシャープに切り取り、わかりやすく解説してくれます。

お勧めしたい方

自由と責任について深く思索し、議論したい方

経済・社会思想に関わる古典について知見を広げたい方

開催概要

日程:2017年 4/22、5/13、5/27、6/10、6/24、7/8(すべて土曜日) 全6回

時間:14:00-17:00(3時間)

定員:25名

会場:慶應丸の内シティキャンパス

参加費:108,000円(税込) 割引制度 キャンセル規定

講座内容

4月22日(土)14:00-17:00

第1回 ポパーが論破した科学主義の限界と自由

ポパーは、実証主義科学の万能性を論理的に批判し「すべての問題を科学で解決できるわけではない」と喝破しました。そのメッセージは、数理モデルや統計を駆使した科学的方法論重視の隘路に陥いりつつある現代の経済社会への警鐘でもあります。

5月13日(土)14:00-17:00

第2回 ヴェーバーが予言した「鋼鉄の檻」とアーレントが見たアイヒマン裁判

プロテスタンティズムの宗教倫理が「資本主義の精神」を生んだと説いたヴェーバーは、一方で、目的のため合理的ルールに従うだけの冷酷な組織社会が到来すると予言しました。半世紀後、ナチスのアイヒマン裁判を傍聴したアーレントは、目的合理社会が行き着く先には全体主義が待っていることに気づきました。

5月27日(土)14:00-17:00

第3回 カントが説いた自由と責任

最強の哲学者カントは、自分は何をなすべきかを自らの意志で決め、その責任を負う「自律的人間」になることが、人間が人間である意味だと説きました。自由と責任は対概念だとするカントの思想は、目的合理性にとらわれない人間的社会のあり方を示唆してくれます。

6月10日(土)14:00-17:00

第4回 ドラッカーが唱えた「人間主義的マネジメント」

ドラッカーは、第二次大戦後の自由な経済社会の主役は企業であると提唱しました。そして経営者が自由意志を行使し、人間主義マネジメントを行うことで、イノベーションが生まれ、企業の成長と社会の発展につながると説きました。

6月24日(土)14:00-17:00

第5回 小林秀雄が読み解いた「大和心」と人間の誠実さ

小林秀雄は、本居宣長研究を通して日本文化には漢心(からごこころ)と大和心(やまとごころ)という二つの精神性が存在したことを紐解いた上で、人間の誠実さにつながる大和心の重要性を説きました。それは、カントやドラッカーにも通じる日本独自の精神性と言えます。

7月8日(土)14:00-17:00

第6回 山本七平が憂いた「空気」を打ち破る

山本七平は、日本社会には人々を抑圧する「空気のような支配」が存在すると主張しました。この「空気」を打ち破ることがリーダーの役割であり、そのために自由意志を行使し、価値判断を下すことができるかどうかが「リーダーの条件」であることを確認し、全体のまとめとします。

参加申込

この講座の募集は終了いたしました。

菊澤研宗

菊澤研宗
(きくざわ・けんしゅう)

慶應義塾大学商学部教授

 

1957年生まれ、慶應義塾大学商学部卒業、同大学大学院博士課程修了後、防衛大学校教授・中央大学教授などを経て、2006年より慶應義塾大学商学部・商学研究科教授。この間、ニューヨーク大学スターン経営大学院で1年間、カリフォルニア大学バークレー校、ハース経営大学院に2年間、客員研究員として研究を行う。

 

主な著書