日本文化の根幹には、日本を日本たらしめている"日本らしさ"があります。それは、鋭い感性と深い精神性によって、見えないものを感じ取り、こころを尽くし、抽象的世界を他者と共有することであると言えます。しかし、それゆえに、"日本らしさ"は言葉や文字で表現することが難しく、伝えにくいという点があります。
本講座は、"日本らしさ" の源泉を、「森林山岳国家」「ユーラシア大陸の東端」という地理的特性に求めることから出発し、定家、世阿弥、利休、芭蕉といった日本文化の革新者の人生と業跡、代表的な書物を辿りながら、「日本文化とは何か」に思索を巡らせます。
最終回では共に旅をした証として、「私の薦める日本文化」を語り合い、"日本らしさ"の自己表現に挑戦します。

"日本らしさ"を徹底して考えます
日本古来の神信仰と、儒教・仏教・老荘思想・禅などあらゆる東洋思想が混合することで醸成された"日本らしさ"の真髄を、伝統文化の精神、様式、表現形態の中に求め、徹底して考えます。
自分の意見を形成することを重視します
歴史や文化を学ぶ方法は、ともすれば、見る・読む・聴くに止まりがちですが、この講座では、自分の意見・考えを形成し発表することで、もう一段深い解釈に挑戦します。そして、既存の知識・経験との連鎖反応が起きることをねらいとします。
お勧めしたい方
日本文化に対する造詣を深めたい方
日本人の精神性、伝統的価値観を再認識し、仕事や人生に活かしたい方
開催概要
日程:2011年 10/3(月)、10/17(月)、11/7(月)、11/21(月)、12/5(月)、12/19(月) 全6回
定員:25名
会場:慶應丸の内シティキャンパス
参加費:105,000円(税込)

講座内容
【参考文献】は、テーマに沿って講師が抜粋・紹介します。
10月3日(月)18:30-21:30
第1回 日本文化の根源にあるもの
「森林山岳国家」「ユーラシア大陸の東端」という二つの地理的な特性によって、日本人に育まれた「鋭い感性と深い精神性」を理解します。『古事記』では、日本文化創造の原初的体験として、産霊(むすひ)神に着目します。
【参考文献】 『古事記』
10月17日(月)18:30-21:30
第2回 西行、定家、道元と「無常観」
歌人の西行、藤原定家と、曹洞宗の祖 道元を取り上げ、平安時代、鎌倉時代の日本文化を考えます。西行、定家が極めた美の表現形式、道元が抱えざるを得なかった困難を洞察し、日本文化の特徴のひとつ「無常観」を考えます。
【参考文献】 『方丈記』
11月7日(月)18:30-21:30
第3回 世阿弥、宗祇と「幽玄・風雅」
室町時代には、日本を代表する美意識「わび・さび((侘・寂)」が集大成をみました。その中心人物である、能楽の世阿弥と連歌の宗祇に目を向け、彼らの業跡と波乱の人生を重ね合わせ、幽玄風雅の極に思いを馳せてみます。
【参考文献】 『風姿花伝』
11月21日(月)18:30-21:30
第4回 利休、小堀遠州と「数寄」
近世に入り、日本の美意識は、侘び茶・作庭として様式化されました。侘び茶を完成した千利休と、その精神を受け継ぎ、建築や作庭に傑作を残した小堀遠州をとりあげます。また、その生涯から、文化と権力の相互依存関係を理解します。
【参考文献】 『南方録』
12月5日(月)18:30-21:30
第5回 芭蕉、良寛と「日本人の生き方」
江戸時代になって、"日本らしさ"は、文化の創造を超えて「人間の生き方」へ昇華されていきます。旅を人生に擬え、旅を栖とした芭蕉。そして、童達と遊ぶ暮らしの中に、おのれの生き方を見い出した良寛。二人の残した俳句を味わい、日本人の生き方を考えます。
【参考文献】 『奥の細道』
12月19日(月)18:30-21:30
第6回 豊かな人生のために
まとめとして、"日本らしさ"を豊かな人生に活かすべく、全員で「私の薦める日本文化」を発表します。その一助も兼ねて、日本的なるものを現代にどう繋げていくかを考察した、谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』を読み合わせます。
【参考文献】 『陰翳礼賛』