私はヴァイオリニストとして50周年を迎えました。
楽しい日々ばかりでなくつらい時期もあり、いくつもの転機、挫折、出会いがありました。歩んできた道のりは決して平坦ではありません。けれどその一つひとつの経験がヴァイオリニストとしての基盤となり、今の私を支えてくれています。
振り返れば私はいつも、音楽に励まされ、音楽に戻ってきました。音楽は私たちの心に希望や勇気を与えてくれます。この講座では、節目となるこの機会にヴァイオリニストとしての波乱万丈の歩みを振り返り、私自身の言葉で語ってみたいと思います。そしてこの時間が、音楽と生きる人生の素晴らしさを皆さんと分かち合うひとときとなれば、心からうれしく思います。
デビューより50年、”いま”だから語れること、わかること、皆さんと共有したいことがある。節目の年だからこそ実現した今回のagoraです。
言葉のプロと紡ぐ50年の道のり。楽器のプロと演奏者との対談。作曲家と演奏家との対談。そして、参加者皆さんとの対話。全6回を通して多面的に音楽とヴァイオリンの魅力を探ります。
2歳半よりヴァイオリンを始める。全日本学生音楽コンクール小学生の部全国1位。NHK交響楽団と共演し12歳でデビュー。日本音楽コンクールに最年少15歳で優勝、レウカディア賞受賞。パガニーニ国際コンクールに最年少で入賞。2002年秋、ストラディヴァリウス「デュランティ」との運命的な出会いを果たし、話題となる。これまでに多くのCDをリリース。最近では2023年山田洋次監督作品「こんにちは、母さん」のサウンドトラックに参加。また千住明のプロデュースによるアルバム「ARIAS」、2024年はデビュー当時の音源も収録した「ベスト&レア」アルバムをリリース。2025年はデビュー50周年を迎え全国で演奏会を行う。春にはデビューアルバムと同じくCD「メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」を発売。
コンサート活動以外にも、講演会やラジオのパーソナリティを務めるなど、多岐に亘り活躍。また、チャリティーコンサート等、社会活動にも関心を寄せている。著書は「続ける力~ヴァイオリンが教えてくれた20の秘訣~」(ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス)「聞いて、ヴァイオリンの詩」(時事通信社、文藝春秋社文春文庫)母との共著「母と娘の協奏曲」(時事通信社)など多数。
オフィシャル・ホームページ https://marikosenju.com/
北海道大学文学部卒。NHK札幌放送局から東京アナウンス室異動後は「NHKニュース21」「NHKニュース7」「NHKニュース10」など、報道番組を中心に担当。「第44回NHK紅白歌合戦」では総合司会、数々の「NHKスペシャル」ナレーション「芸術劇場 劇場への招待」「日曜美術館」などのキャスターも務めた。元NHKエグゼクティブアナウンサー。
現在は、バラエティー番組「チコちゃんに叱られる!」や「ラジオ深夜便」アンカーとしても活躍中。
日本大学法学部卒。1995年に文京楽器製造に入社後、名器再現プロジェクト責任者としてストラディヴァリなどの研究に従事。2010年からグループ全体を統括し、国際ディーラーとしても活動。2016年より文京楽器・アルシェ代表取締役。製作家としても高評価を受け、2021年NHK『チコちゃんに叱られる』に出演。2002年にはストラディヴァリウス“デュランティ”を千住真理子氏に販売、その写しの製作にも取り組んだ。
1960年東京生れ。幼稚舎より慶應義塾に学び同大学工学部を中退し、東京藝術大学作曲科卒業。同大学院首席修了。修了作品東京藝術大学買上(史上8人目)。
代表作:ピアノ協奏曲「宿命」、オペラ「万葉集」「滝の白糸」、ドラマ「ほんまもん」「風林火山」「VIVANT」、映画「追憶」「こんにちは、母さん」、アニメ「機動戦士Vガンダム」「鋼の錬金術師FA」、NHK「ルーブル美術館」Nスペ「新・ドキュメント太平洋戦争」、中国ミュージカル「白夜行」、ゲーム「TRIANGLE STRATEGY」等。日本アカデミー賞優秀音楽賞4回受賞等受賞歴多数。東京藝術大学、大阪音楽大学客員教授。
ホームページ https://akirasenju.com/
開催形態 | ハイブリッド開催(対面(キャンパス)、オンライン) |
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日程 | 2026年 1/14(水)、1/27(火)、2/11(水・祝)、2/25(水)、3/11(水)、3/25(水)全6回 欠席時は録画映像の視聴が可能です(オプション回を除く)。 |
時間 | 第1・2・4・5・6回 18:30-21:30(3時間)、第3回 14:00-18:00(3時間+談話会1時間) |
定員 | 25名 |
会場 | 慶應丸の内シティキャンパス/オンライン |
参加費 | 110,000円(税込) 割引制度・キャンセル規定 |
お問い合わせ | 担当:湯川 03-5220-3111 個別相談 資料請求 |
第1回 1月14日(水)18:30-21:30(3時間)
2歳3ヵ月からヴァイオリンを始め、12歳でデビューして50年。あっという間のようにも、人生を何度も生きてきたようにも感じます。旧知の友人である森田美由紀さんとの対談形式で、これまで話せなかったことも含めてこの50年を振り返り、お話ししたいと思います。
第2回 1月27日(火)18:30-21:30(3時間)
私はいつも「弾くこと」ではなく、聴いてくださる方との「心の交流」を目指して演奏しています。実際、皆さんの発するエネルギーを私が受け取ってまたそれを音にして返している、そんな実感があります。音楽もこの場も同じです。皆さんからの自己紹介と、さまざまな疑問、質問、好奇心に、私も心を込めてお答えし、お互いの理解を深める時間を持つことができたらと思います。
第3回 2月11日(水祝)14:00-18:00(3時間+談話会1時間)
ストラディヴァリウス、ガルネリ、ガダニーニ等、名器と称される著名なヴァイオリンがあります。でもこれらの何が、なぜすごいのかということは案外知られていません。そして実は、弓こそ大切な相棒であることも。文京楽器の堀酉基さんをお迎えして「楽器と弓」についてたっぷりお伝えします。堀さんは私にデュランティを出会わせてくださった方。とっておきのお話も伺えることと思います。
第4回 2月25日(水)18:30-21:30(3時間)
楽器を奏でる技術と、感情を揺さぶる芸術。ヴァイオリニストはこの両方による表現者です。作品をどう理解して、作曲家に憑依して、どうやって演奏に心をこめるのか。ヴァイオリニストとしての醍醐味を幅広く、深く、考察し、表現の本質に迫ってみたいと思います。
第5回 3月11日(水)18:30-21:30(3時間)
もし私が、作曲家に直接問いかけ、答えてもらうことができたら―。バッハやベートーヴェンとの対話は叶いませんが、兄・千住明に来てもらい、現代の作曲家との対話を実現したいと思います。作曲家の思いや作曲課程について伺い、作曲家と演奏家でどのようにバランスをとるのか、どう作品世界を実現していくのか、たっぷり語り合います。実は、兄妹で“音楽対談”は初めての試み。ご期待ください!
第6回 3月25日(水)18:30-21:30(3時間)
リサイタルのプログラムを考えるところから、表現はすでに始まっています。どんなメッセージを込めたいのか、そのためにどの曲目を選び、どう組み立てていくのか。そうして仕上がるプログラムはひとつのドラマです。私の作り方やエピソードをお話しながら、皆さんとも一緒に考えてみたいと思います。音楽とともに素晴らしき人生をめざして。