慶應MCC agora講座

平野昭さんと【系譜で読み解くクラシック音楽】

シューマンから探るドイツ・ロマン主義音楽


【ハイブリッド】

丸の内キャンパス、オンライン(Zoom)いずれでも参加可能です。


ハイドン、モーツァルトの様式を継承発展させ、革新し、古典派様式の頂点を極めたベートーヴェン。その様式変遷の方向性をいち早く理解し、19世紀ドイツ・ロマン主義の奔流を開拓したのがロベルト・シューマンでした。

シューマンはまた、明晰な知能、豊かな知識、文才にも長け、『音楽新報』を主宰・主筆、多くの貴重な音楽論や作曲家論を発表し、音楽ジャーナリズムの礎を築きました。

主要ジャンルの傑作と作曲家たちとの関連や交流エピソードを交え、シューマンをご紹介します。その独自で美しい芸術世界とクラシックが頂点を極めた時代を豊かに味わいましょう。

平野 昭

平野 昭

たくさん聴いて、感じます

講義に加え、作品や作曲家を演奏とともに紹介します。演奏をたくさん聴いて、感じて、味わうことで新たな気づきや感性の広がり、楽しみ方を広げましょう。また、こう感じた、もっと知りたい、皆さんの素直な感情の動きこそ豊かな鑑賞の一歩です。感想や疑問を大切に対話しながら進めます。

シューマンをまだあまり知らない方にこそ

昨年度はシューベルトをとりあげました。ベートーヴェンと同時代のウィーンに生き、もうひとつの音楽宇宙を築いたシューベルトを知ることで、時代やクラシック全体を豊かに知る・出会うことにつながりました。そこで今年はシューマンを取り上げます。まだシューマンをあまり知らない方や、ベートーヴェン、ショパン、マーラーなど他のお好きな作曲家がある方にもおすすめです。

おすすめする方

  • クラシック音楽史や作曲家について研究し、より深く楽しみたい方
  • ドイツ・ロマン派音楽の豊かな魅力を楽しみたい方

講師

平野 昭

平野 昭ひらの・あきら

音楽評論家、桐朋学園大学特任教授、静岡文化芸術大学名誉教授

1949年横浜生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽学専攻修了。研究領域は西洋音楽史と音楽美学。主として1700~1949年までのドイツ圏の作曲家と作品研究、J.S.バッハからR.シュトラウスまで。尚美学園短大助教授、沖縄県立藝術大学教授、静岡文化芸術大学教授、慶應義塾大学教授を歴任、この間東京藝術大学、国立音楽大学、東京音楽大学、桐朋学園大学、京都市立芸術大学、愛知県立芸術大学、成城学園大学、立教大学、横浜市立大学等の非常勤講師も勤める。論文にはシューベルトのピアノ・ソナタ論、ブルックナーの交響曲論、ベートーヴェンのさまざまな作品論等多数。

主要な編著に『音楽キーワード事典』『ベートーヴェン事典』『ベートーヴェン大事典』『ベートーヴェン:カラー版作曲家の生涯』『ベートーヴェン:作曲家・人と作品』『ベートーヴェンとピアノ:限りなき創造の高みへ』『ベートーヴェンとピアノ:「傑作の森」への道のり』『ベートーヴェン:革新の舞台裏』等。

所属学会:日本音楽学会・国際音楽学会・18世紀学会・三田芸術学会・三田哲学会各会員。

日本ベートーヴェンクライス代表。三田芸術学会会長。

仲道 郁代

仲道 郁代なかみち・いくよ [第2回ゲスト講師]

ピアニスト

日本音楽コンクール第1位、ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位、メンデルスゾーン・コンクール第1位、エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞。ピッツバーグ響、バイエルン放送響、フィルハーモニア管、ドイツ・カンマーフィル、ハンガリー国立フィル、バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ等、海外のオーケストラと共演多数。 CD はレコード・アカデミー賞受賞CDを含む「仲道郁代ベートーヴェン集成~ピアノ・ソナタ&協奏曲全集」「シューマン:ファンタジー」他。著書に『ピアニストはおもしろい』(春秋社)等。

ベートーヴェン没後200周年の2027年に向けて「仲道郁代 The Road to 2027 リサイタル・シリーズ」を展開中。2024年は6月2日(日)サントリーホールにて「夢は何処へ」と題してベートーヴェンのソナタとシューベルト・ソナタ18番「幻想」を予定。

一般社団法人音楽がヒラク未来代表理事、一般財団法人地域創造理事、桐朋学園大学教授、大阪音楽大学特任教授。令和3年度文化庁長官表彰、ならびに文化庁芸術祭「大賞」を受賞。

仲道郁代オフィシャル・ホームページ http://www.ikuyo-nakamichi.com


開催概要

開催形態ハイブリッド(丸の内キャンパスとオンラインのいずれでも参加可能)
日程2024年 5/11(土)、5/21(火)、6/1(土)、6/15(土)、6/29(土)、7/13(土)、8/3(土) 全7回
時間第2回(5/21)のみ18:30-21:30、ほか9:30-12:30(3時間)
定員25名
会場慶應丸の内シティキャンパス、オンライン
参加費

agoraメンバーシップは講座参加費の割引と講演会の受講券がセットになったお得な制度です。詳しい内容はこちらをご覧ください。


講座内容


5月11日(土)9:30-12:30

第1回ロマン派の神髄、ピアノ作品総論

ピアノ音楽に新たな魅力的世界を築いたシューマンの独創的表現を見つめることから始めましょう。幻想的でロマンティックな作風、詩的な表題、形式の新しさや技巧性など、シューマンのピアノ音楽は彼の代表的作品であると同時に、まさにロマン派ピアノ音楽の神髄です。


5月21日(火)18:30-21:30

第2回永遠の憧れを描き続けた作曲家

日本で最も多くのピアノ音楽ファンを魅了し続けるピアニストの一人仲道郁代さんは、シューマンは「生涯、繊細な心のありよう、永遠の憧れをあるがままに描き続けた作曲家」と語ります。シューマンのピアノ・ソナタでデビュー、大切に弾き続ける仲道さんを迎え、作品解釈、作曲家像、表現などを伺います。

  • 講師
  • 仲道 郁代(ピアニスト)

6月1日(土)9:30-12:30

第3回ピアノ曲にみる独創性、ピアノ作品各論

音楽論集『音楽と音楽家』に見るショパン、メンデルスゾーン、フンメル、シューベルトのピアノ作品に関する評論から見えてくるもの。さまざまな「組曲」に見られるウィットにとんだ知的な仕掛け。ピアノ曲からシューマンの独創的な創作とその魅力を探りましょう。

  • 第1-3回でとりあげる作品
  • 《アベッグ変奏曲》《蝶々(パピヨン)》《ダヴィッド同盟舞曲集》《謝肉祭》《子供の情景》《幻想小曲集》《クライスレリアーナ》《ノヴェレッテン》《ウィーンの謝肉祭》他

6月15日(土)9:30-12:30

第4回ロマンティックな歌曲

シューマンは数多くの歌曲、合唱曲を作曲しました。ロマンティックな心理表現、ドラマティックな抒情的表現、歌曲からは文学青年でもあったシューマンらしさとその魅力が伝わってきます。歌曲の美しさと芸術表現を味わいましょう。


6月29日(土)9:30-12:30

第5回合唱曲、オラトリオ、オペラへ

19世紀は音楽が市民に開放され開花した時代です。宗教音楽は教会より市中に出で、各地には合唱団が創設されました。合唱曲、オラトリオ、念願の劇作品など、既存の枠組みにとらわれないシューマン音楽の新しさと美しさに出会います。

  • 第4・5回でとりあげる作品
  • オペラ《ゲノヴェーヴァ》、オラトリオ《楽園とペリ》、歌曲集《女の愛と生涯》《詩人の恋》《ミルテの花》《リーダークライス》他

7月13日(土)9:30-12:30

第6回室内楽、管弦楽曲とジャーナリストとしてのシューマン

シューマンは室内楽作曲に際しモーツアルト、ハイドン、ベートーヴェンを徹底研究し、独自の表現や形式で作品を生み出します。その姿勢には評論家的視点と才能が見てとれるともいえましょう。室内楽・管弦楽曲にシューマンの芸術観を探ります。


8月3日(土)9:30-12:30

第7回交響曲

オペラと交響曲はすべての作曲家にとって目標であり、憧れです。シューマンも、ベートーヴェンの革新性を受け止め、さまざまな思考、試み、変遷をへて交響曲を作曲しました。シューマンの哲学や思い、音楽観を読み解きましょう。

  • 第6・7回でとりあげる作品
  • ピアノ三重奏曲、ピアノ四重奏曲、ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏曲、交響曲、ピアノ協奏曲他

agoraメンバーシップは講座参加費の割引と講演会の受講券がセットになったお得な制度です。詳しい内容はこちらをご覧ください。


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